佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

オレたちバブル入行組

オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。

                                 (本書P290より)

 

『オレたちバブル入行組』(池井戸潤・著/文春文庫)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説。


 

 

 

日曜劇場・半沢直樹、アタリでした。良かったですね。池井戸さんの小説のキーワードは解説の新野剛志さんが書いていらっしゃるように”共感”だろう。そしてその共感の礎には”矜持”があるのではないか。組織の中で、とりわけ大組織の中では一人の人間のプライドなど吹けば飛ぶようなものだ。「長いものには巻かれろ」 一人の人間が誇り高い生き方をするのは難しい。しかし己の”矜持”に従った行動をとれるかどうかは別にして、人それぞれに”矜持”を胸に生きている。池井戸さんの紡ぐ物語はその胸にズンと響く。続編『オレたち花のバブル組』を早速読みたい。