『ジョナサンと宇宙クジラ』(ロバート・F・ヤング:著/ハヤカワ文庫SF)を読了。
まずは出版社の紹介文を引きます。
さわやかな9月の風のなかを空飛ぶフライパンに乗って、宇宙クジラが棲む遙かな銀河へ、巨人族が暮らす深い海の洞へと、冒険の旅に出かけてみませんか?それとも、辺境惑星一帯を爆笑の渦に巻きこんだ「愛しのメアリ・ルー」を上演中の宇宙船劇場のほうがよいですか?アメリカSF界でブラッドベリ、スタージョンと並び称される詩人ロバート・F・ヤングが、愛に渇き、倦怠に沈むあなたに贈る、心温まる珠玉の名品集。
すれっからしにはロバート・F・ヤングの良さはけっして判るまい。小説の意味や価値はそれを書いた人、あるいは読んだ人の意識が付加したものなのだ。だとすれば、それが不愉快なものでなく、心温まるもの、ロマンチックな甘い夢であって悪いはずはない。SF通にいわせればF・ヤングの小説は叙情的に過ぎて読んでいられないかもしれない。確かに病んだテイストのSFはクールだ。しかし「甘くセンチメンタルなラブストーリーがSFであって何が悪い!」と私は開き直って反問する。私はくたびれた中年男である。同時に私はF・ヤングの世界が大好なピュアな心を持つ男でもある。私はそんな自分をけっこう好きだ。笑わば笑え。