『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン』(小路幸也・著/集英社文庫)を読みました。
待ちに待った東京バンドワゴン・シリーズ・第9弾がやっと文庫化されました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
青の映画がいよいよ公開されることに。東京下町の古書店“東京バンドワゴン”には、本日も訳ありのお客がやってくる。ある作家の棚の前で涙をこぼしていた女性。実は高校生のときに学校の焼却炉で何冊もの本を黙々と処分していた少女だという。いったい彼女に何があったのか、気になる堀田家の面々。「LOVEだねぇ」が沁みわたる、やさしさと温かいおせっかいに満ちた、人気シリーズ第9弾!
オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン (集英社文庫)
- 作者: 小路幸也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/04/20
- メディア: 文庫
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毎週放送のつづきものホームドラマを視るような感覚で読める家族小説の名作です。シリーズも数えて第9弾になりました。普通ならそろそろ・・・でしょうが、私としてはもっともっと続けてほしい。長期にわたるシリーズものはややもすればマンネリ化の謗り種となる。しかしそれの何処が悪いのだ。マンネリ化結構、「釣りバカ」よりも「寅さん」よりもどんどん続けて欲しいのだ。ここには大家族へのノスタルジーがある。私のように子ども時代を大家族で育った人間にとってそれは心のふるさととでも云うべきものです。翻って若い世代にはどうか。本シリーズは結構若い世代にもウケているとみえる。大家族同居を経験したことのない世代にとって、本書が描く家族はひょっとして新しい理想型なのかもしれない。
本書の題は『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ』だ。題名どおり愛に溢れている。ここで重要な登場人物の一人、我南人の言葉を引きたい。
「この本にはぁ、これだけじゃなくてお父さんの本にはぁ、悲しみも苦しみもあるけど、ぜぇんぶひっくるめて大きなものすごぉく大きなLOVEが溢れているねぇ。きっとこれはねぇ安見ちゃんぅ、ぜんぶぜぇんぶ君へ贈るLOVEなんだよぉ。それが溢れたからこそこの本は書けたと思うんだぁ。それを僕は感じてこうやって歌に出来たんだよぉ。LOVEのない本から、歌は決して生まれないんだぁ」
私にとって この言葉から連想される曲は”All you need is love”よりはむしろ”Lotta love”だ。
ニール・ヤングの名曲です。
大学生の頃聴いたニコレット・ラーソンのデビューアルバムの”溢れる愛”も良かった。
懐かしい。
La--------Woo---
沢山の愛が要りそうだね、物事の有り様を変えるのには......
沢山の愛が要りそうだね、じゃなきゃ、そんな遠くには行けそうにない。
僕の方見たところで、僕らは目を合わす事もない。
僕のハートにはプロテクションが必要......
だからそうしているってわけさ。
沢山の愛が要りそうだね、僕らが夜を過ごすのには......
沢山の愛が要りそうだね、事を巧く運ぶのには......
外で待ってる位なら、直ぐに姿を見せて欲しい。
だって、僕のハートは触れ合いを求めているだもの。
孤独なんかじゃない......