佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『乙嫁語り ⑮』(森薫:著・青騎士コミックス)

2024/12/01

乙嫁語り ⑮』(森薫:著・青騎士コミックス)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

スミスとタラスはイギリスへ。待望の15巻が発売!

中央アジアを訪れていた英国人のスミスは、現地で恋した薄幸の乙嫁・タラスを連れてイギリスへ帰った。父や母や兄弟に、スミスはタラスを紹介する。果たして家族の反応は……?

 

 前巻(14巻)を読んだのはほぼ1年前。私がこのシリーズ第1巻を読んだのは2012年のことだったから、もうかれこれ12年以上にわたって新刊が出るのを心待ちにして読んできたことになる。その間、森さんの作品を読みたくて『シャーリー』も読んだ。スチームパンクの雰囲気にあふれた19世紀末のイギリスもの。それもメイドものである。メイドものといえば『エマ』も読んだ。同じく19世紀イギリスを舞台にしたメイドと貴族の道ならぬ恋が主題であったかと記憶している。齢65を迎えようとするジジイの私が、そのようなものを読んだということを書くだけでも顔が赤らむ。決して法に触れる行為ではないが、うら若き女性から「キモ~~ぃ」などと侮蔑を受ける覚悟は必要だろう。それでも私は言いたい。森薫は凄い。森薫は素晴らしい。日本漫画界の至宝であると。

 今巻では、いよいよスミスがタラスを母国イギリスに連れ帰る。タラスを妻にしたいと固い決意を持つスミスだが、上流階級であるスミスの家にあって果たしてその願いは叶うのか、親兄弟親族がそれを認めてくれるのかという展開。時は19世紀半ば、現代とは違い、やはり大きな障害があるわけで・・・

「現代の価値観で歴史を判断してはならない」というのは、最近読んだ『日本人の誇り』という本の中にあった藤原正彦氏の言葉だったか。洋の東西を問わず、身分の違うものの恋物語というのは読むものの胸を熱くするようで。