佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ザ・万歩計

8月27日

ザ・万歩計

 おもしろくなくても読む。何はともあれ読む。
 それが極めてぜいたくな時間の使い方であると知ったのは、私が三十歳になってからのことだ。ましてや、釣りをしながら、ぼんやり本を読むなど、人生最高のぜいたくの一つだと、今となってはわかる。
 だが、そのときはそれがわからない。何も考えず、じゃぶじゃぶ湯水のように貴重な時間を浪費する。それが若さの美しいところであり、憎たらしいところでもある。
 あの日から、私は釣りに行っていない。

                (本書P120より)

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『ザ・万歩計』(万城目学/著・文春文庫)を読みました。万城目学氏の初エッセイです。

裏表紙の紹介文を引きます。

少年時代に大阪で阿呆の薫陶を受け、大学時代に自分探しの旅先で全財産を失い、はては作家目指して単身東京へ。ホルモーでついに無職を脱するも「御器齧り」に苛まれ、噛みまくるラジオに執筆を阻まれ、謎の名曲を夢想する日常は相変わらず。そのすべてを飄々と綴った初エッセイ集。文庫版あとがき「その後の万歩計」を収録。

子供の頃の想い出。学生時代の想い出。小説を書くことになったいきさつ。『鴨川ホルモー』のこと。『鹿男あをによし』のこと。宿敵ゴキブリとの闘争。万城目氏の魅力にあふれています。冒頭引用した読書という贅沢な時間の使い方についての記述など、まさに我が意を得たりと膝を打ちました。『渡辺篤史の建もの探訪』が好きだというのもいい。感じ方が同じだとわかってこれほど嬉しいことはない。

今日は贅沢な時間を過ごそうと思います。

さて、シャワさんが貸して下さった『プリンセス・トヨトミ』を読むとしましょう。