今朝の春
「勝ちたい一心で精進を重ねるのと、無心に精進を重ねた結果、勝ちを手に入れるのとでは、『精進』の意味が大分と違うように思いますねぇ」
(本書P240より)
『今朝の春 - みをつくし料理帖 -』(高田郁/著・ハルキ文庫)を読みました。
裏表紙の紹介文を引きます。
月に三度の『三方よしの日』、つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁使いの指南役を任されて――(第一話『花嫁御寮』)。戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは――(第二話『友待つ雪』)。おりょうの旦那伊左三に浮気の疑惑が!? つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは――(第三話『寒紅』)。登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる家。澪が生み出す渾身の料理は――(第四話『今朝の春』)。全四話を収録した大好評シリーズ第四弾!
待ちかねていました。本屋に平積みしてあるのを見るやいなや購入しました。いやあ、ますますおもしろいです。主人公・澪が想いを寄せる小松原の身分が明らかになり、幼なじみの野江(あさひ太夫)が吉原に売られたいきさつも明らかになる。野江を遊郭から救い出す道も遠く微かに見えてきた。一流料亭の登龍楼との料理番付争いも面白い。澪の料理に対する真摯な心、心根の温かさが周りの心を動かし、素敵な物語を紡いでいく。出てくる料理はすべて垂涎もの。あぁ、第四弾を読み終えたばかりなのに、早く第五弾が読みたい。高田さん、早く書いて下さい。お願いします。