娘の出棺を見送りながら、心の底から叫び出したい衝動に何度も突き動かされた。頼子、おまえの敵は必ず討ってやると。
だがこの誓いはすべてが終わる瞬間まで、私ひとりの胸に秘めておかねばならない。決して誰にも悟られてはならなかった。血を吐くような必死の思いで、私は自分を抑えつけた。
いま私の心は決まっている。どんなことがあっても、頼子を殺した犯人に罪の償いをさせるのだ。私に恐れはない。この決意を揺るがすものはない。
唯一の正当な償いは死あるのみ。私はきっとその男を殺す。
(本書P28より)
『頼子のために』(法月綸太郎・著/講談社ノベルス)を読みました。
想像をはるかに超えた驚愕の真実。その一言に尽きる。忘れられない一冊になること間違いなし。