まずは出版社の紹介文を引きます。
【上巻】ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、鷲津は斬新な再プランを披露し、業績を上げていく。企業買収、再生の真実を克明に描いた問題作。
【下巻】企業再生が軌道に乗りはじめた頃、鷲津政彦は元銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松平貴子と偶然出会う。二人と接触を重ねるたびに、鷲津の過去が明らかになっていく。そこに潜むある事件とは?そしてニューヨークから日本に戻った鷲津の真意が判明した瞬間、驚愕のクライマックスが訪れる。
この小説がNHKでドラマ化され放映されていたのは知っている。しかし幸か不幸か私はそれを観ていない。なるほど高度経済成長期が終焉し、バブルがはじけた日本を舞台に、日本的価値観と欧米的価値観の対比を軸に物語が展開していく。そして時代の趨勢として当然のことながら日本的価値観、日本的経営は一敗血に塗れるのである。もはや”Japan as Number One”とたたえられた日本の栄光は見る影もない。生粋の日本人である私としては読んでいてつらいものがある。せめて日本人の品格の何たるかを見たいものだ。
果たして会社は誰のものなのか。決して経営者のものではない。たとえ創業家であってもそうではない。ではアメリカのいうように株主のものなのか。それも違う。その答えを続編『ハゲタカⅡ バイアウト』、『レッドゾーン』を通じて考えることになりそうだ。続編を読もう。