佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

高砂『忠助』で一人飲み

2020/12/10

 高砂『忠助』で一人飲み。酒も肴も大将におまかせでやりました。永いつき合いの中で、私の好みも把握してもらっています。こんな楽な飲み方もない。しかもワクワク感があり、そのうえおいしいのだ。

 前回、一人飲みしたときは次の飲み会への時間調整でもあったのだが「王祿」を中心に出していただいた。はてさて今日はどんな酒が飲めるのだろう。 

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 まずはじめに出していただいたのは「而今 特別純米 にごりざけ生」。おぉ~~とのけぞりました。而今の新酒が飲めるとは。私にはこれを手に入れるすべはありません。ものすごく高い金を払えばネット販売で手に入れることは出来ます。しかしそんなはしたないマネは恥ずかしくて出来ません。その酒にふさわしい値段であれば喜んで払います。しかし、人気があって抽選でないと買えないような酒は法外な値段になります。それでも手に入れたい、飲みたいという気持ちもあるでしょう。でも私は「自分はバカです」と宣言しているようで恥ずかしいのです。どれくらいの値で取引されるかはネットで検索すればおおかたわかるでしょう。こんな酒を、昨日封を切ったのがありましたとすっと出してくるところ、ボクシングで1ラウンド開始10秒で鋭い右ストレートをまともにくらった気分です。ありがたい。

 あまりにうまいのでスイスイ飲んでしまった。にごりからくる重さを一切感じさせないシルキーな舌触り、ピチピチッとした発泡感、ふくよかな味わいは新酒のフレッシュ感と相俟って綺麗に切れてゆきます。あぁ、これは昨日61歳の誕生日を迎えた私へのプレゼントなのだと神様に感謝。いや忠助の大将に感謝した。

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而今 特別純米 にごり酒生」

 続いての酒は「純米33 MISAスパークリング」。これもこの時季ならではのレアな酒。若干の甘めが女性杜氏らしさを感じさせる。うまい。肴にポテトサラダを出してくださった。私のポテサラ好きを覚えていただいているのだ。空きっ腹を見越してのチョイス。気づかいがありがたい。続いて出て来た造りも新鮮でおいしい。刺身につける醤油にこの店のこだわりが見える。キッコーマンの自信作。この時季だけの数量限定商品「しぼりたて生醤油 御用蔵生」です。トップメーカーが伝統の技術とこだわりで造ったしぼりたてを、その風味を損なわない容器に詰めたもの。杉の桶で二段熟成させて造ったものだけに、通常の醤油とはその風味において格段の差がある。私は刺身醤油は好まず、通常の醤油を使うことが多いのだが、通常の醤油には若干の物足りなさを感じるのも事実。甘くなく、しつこくなく、しかもうま味、風味が過不足なくある逸品。中トロにこの醤油をちょいとつけて口に入れたときの風味といったら、あぁ、日本に生まれて良かったと思える味です。

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 続いての酒は広島の蔵「三輪酒造」の「神雷(しんらい) 純米吟醸」と「神石高原(じんせきこうげん) 生酛純米酒」。肴は串焼き。串焼きは『忠助』の看板メニュー。その肴を活かす食中酒としてのチョイスでしょう。「神雷 純米吟醸」は香り穏やかでスッキリ綺麗な酒という印象。肴の味を引き立てます。「神石高原 生酛純米酒」のほうは吟醸でないにもかかわらずさらにスッキリ。広島の酒らしからぬ甘みを抑えたあっさりした味わい。酸も穏やかなやさしさがあるものの、後口に僅かな引っかかりを残すあたり、「おっ!」と思わせる。これは燗で飲んでみたいとお願いした。燗にして風味がふくらむとなんともいえずやさしく幸福感のある味になる。こうしてみると、日本酒は本来燗でやるものだという気がする。寒冷な高原で蔵つきの酵母でじっくりと醸された酒は、華美な味や香りがもてはやされる昨今の日本酒業界にあって、対極を指し示すものだろう。神石高原といえば中国山脈の山間。こうした酒を家飲みの酒として山菜や地元野菜で作った料理を肴に飲む日々を想像してみると、それこそが酒の飲み方の原点ではないかという気がする。ややもすると酒池肉林に憧れてしまう我が身を省みて、少し生活態度を改めねばならんなと思った次第。

 だからというわけではないが〆御飯に卵かけご飯を所望した。本当にキレイな色の卵にキッコーマンの杉桶二段熟成醤油の取り合わせは幸せな出会いでありましょう。大満足で店を後にしましたとさ。めでたし、めでたし。

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