佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

映画『イコライザー2』

2021/06/29

 映画『イコライザー2』を観た。

 アメリカ版必殺仕事人。といっても本作は復讐殺人を依頼されるわけではなく、困っている人を見るに見かねて助けるわけだが。

 前作ではホームセンターの店員だった主人公のマッコールは、今作では配車サービスのドライバーとして生きている。相変わらず本を持ち歩き読んでいます。今はなき妻が「読むべき100冊」と言って読んでいたものから選んで読んでいたが、今作ではいよいよ100冊目にたどり着いている。マッコールがラストに選んだのはプルーストの『失われた時を求めて』だ。彼の妻はこの本を97冊目に選び、読んでいる途中で死んでしまった。マッコールが「読むべき100冊」を読むのは妻への思いであり、祈りであり、自らの心の傷を癒やす行為でもあるのだろう。今作では深夜のダイナーでの読書シーンがなかったのは残念だが、列車での移動中におもむろに本を開く仕草に、ほんとうは彼はイコライザーとしての闘争を望んではおらず、読書する静かな時間を大切にしていることがわかる。大人のあるべき姿がここに表現されている。

 自分の身の回りにある理不尽を見かね、悪意と暴力によって人を支配し搾取しようとする輩を抹殺することで街を浄化していくマッコールだが、手を下す前に必ず相手に悔い改めるかどうか選択権を与える。しかし、本作で元の職場CIAでの同僚スーザンを殺めた犯人たちに対してだけは、「いつもは選択するチャンスを与えるが、おまえらにそれはない」と言い渡す。まさに怒髪天を衝くとはこのことだ。勧善懲悪の復讐劇にしびれた。