佐々陽太朗の日記

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『冷たい密室と博士たち ”DOCTORS IN ISOLATED ROOM"』(森博嗣:著/講談社文庫)

2024/11/16

冷たい密室と博士たち ”DOCTORS IN ISOLATED ROOM"』(森博嗣:著/講談社文庫)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!? 人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリィ第2弾。

 

 先日読んだ『すべてがFになる "THE PERFECT INSIDER"』に続くS&Mシリーズ第2弾である。今回も密室もの。テイストも同じ。シリーズものなので当然のことだろう。過度のニコチン依存のほかは全くと言ってよいほど人間臭さのない犀川助教授とお嬢様女子大生・西之園萌絵の理系コンビの会話が楽しい。予想だにしなかった意外な結末は前作に引けを取らない。どうやらそれを予想しようなどと思わない方が良さそうだ。いかに丹念に読みすすめたとしても殺人の動機を推察することなどできないだろう。ただ、登場人物の一定数を犯人候補から排除していくことは可能だろう。となれば「犯人は●●●なのではないか、動機もなにも分からないけれど・・・」といった推理が精一杯か。読者としては”予想だにしなかった意外な結末”にただただ素直に驚き「ええぇっ!」とのけぞるのがこのシリーズの楽しみ方と心得るべきかな。

 シリーズ第1作を読んであまりに人間臭さのないドライなテイストに少々物足りなさを感じたが、第2作を読むに至ってそれが妙に心地よくなってきた。読めば読むほど好きになる。森博嗣氏はそんな作家なのかもしれない。そういえば初めて森氏の作品を読んだのはミステリーではなく『孤独の価値』という人生論であった。「他者と繋がろうとしすぎない」森氏のそんな価値観を地で行くのが主人公・犀川助教授なのだろう。

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