佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

想い雲 - みをつくし料理帖

5月11日

想い雲 - みをつくし料理帖

その花は、いかなる時も天を指さし、
踏まれても、また抜かれても、
自らを諦めることがない
        P208 花一輪―ふわり菊花雪 より

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『想い雲・みをつくし料理帖』(高田郁・著/ハルキ文庫)を読みました。

高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズの第三弾です。

はやく読みたいと待ち焦がれておりました。

シリーズ第一弾・第二弾はこちらのブログで……

『八朔の雪』 http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=96044

『花散らしの雨』 http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=110829

小さい頃、易者に「雲外蒼天」(艱難辛苦が待ち受けているが、その苦労に耐えて精進を重ねれば、必ずや真っ青な空を望むことができる)の相と占われた主人公の澪と、「旭日昇天」(天下取り)の相と占われた高麗橋にある大店のこいさん野江。大坂で生まれ仲良しだった二人はひとたびは離ればなれになったが、数奇な運命は江戸でふたたび交差する。女であるがゆえに正当に評価されることのない時代に料理人を志し、懸命に働く澪に降りかかる艱難辛苦。自らの努力と創意でその苦難を乗り切る。そしてそこには澪を温かく見守る周りの人々の人情があった。物語を読み進めるにつれ澪の活躍に拍手喝采し、下町の人情に心温まり目頭を熱くします。素晴らしい小説です。

裏表紙の紹介文を引きます。

土用の入りが近づき、澪は暑気払いに出す料理の献立に頭を悩ませていた。そんなある日、戯作者・清右衛門が版元の坂村堂を連れ立って「つる家」を訪れる。澪の料理に感心した食道楽の坂村堂は、自らが雇い入れている上方料理人に是非この味を覚えさせたいと請う。翌日、さっそく現れた坂村堂の料理人はなんと、行方知れずとなっている、天満一兆庵の若旦那・佐兵衛と共に働いていた富三だったのだ。澪と芳は佐兵衛の行方を富三に聞くが、彼の口から語られたのは耳を疑うような話だった―。書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、待望の第三弾。