佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『酒舟 天』でおばんざいを肴に地酒をやる

2023/09/21

 神戸での用事を済ませた夕方、中央区中山手通象ビル『酒舟 天』で飲んだ。半年ほど前に呑み友から教えてもらった店である。まだ夕方早い時刻で開いている店は少ないのだが、幸いなことに店は開いていた。聞けば16時から開けているという。実はGoogleマップの情報では18:00から、facebookでは17:00から開くとなっている。まだ早すぎるだろうがもしやと思って行ってみたのだが開いていて良かった。

 カウンター席に腰掛けてまずは酒を注文。正面に見える冷蔵庫に「春鹿 純米吟醸 ひやおろし 生詰」の瓶が見えたのでそれにした。言わずと知れた奈良の銘酒。もともとキリッとした辛口の酒が、ひと夏越して旨味を増しているはずだ。供された酒をグビリとやり、鞄から出した文庫本を読んでいるとお通しが出てきた。予め準備してあるおばんざいの中から店主が3種選んで出してくれる。気軽にカウンターに腰掛け、こうした気の利いた肴をつまみながら地酒をやる。こういう飲み方が好きだ。

 次は飲んだことのない酒をたのむことにした。「甲子 林檎 純米吟醸」(きのえね アップル)。「甲子」は確か千葉の酒。以前に飲んだ記憶はあるのだが、この「林檎」というのは初めて見る。店主の弁によると協会77号酵母を使って醸した酒だとのこと。リンゴ酸を多く作る酵母なのだとか。女性に好まれる酒だとも。爺むさい私が飲むのも気恥ずかしいが、飲んでみたいと注文する。飲むとかなり甘い。しかし酸が強く爽やかな飲み口でキレも良い。これはキリッと冷やして飲むのにかぎる。

 続いては「鳴門鯛 純米 超辛口」。名前からも察せられるとおり徳島の銘酒。これは燗でやることにした。イイ。燗でやるのにぴったりの酒だ。肴は「鯖一夜干し」を合わせた。こういうのをやっているとつくづく日本人に生まれて良かったと思う。

 だいぶ酒がまわってきた。最後の酒といこう。席に着いてからずっと冷蔵庫にある容器が気になっていた。生ビールのサーバーに似た銀色の容器である。「天寶一 純米直汲み生」との文字が読めたので広島の「天寶一」が入っていることはわかった。お隣の席の女性が注文したので、わたしもそれに便乗することにした。ワイングラスに注がれたそれは、微かに発泡し、グラスにつき始めた水滴でよく冷えていることがわかる。桃かあるいはバナナのような熟れた甘い香りがあり、 味わいは甘い。キリッと冷えてしつこくは感じないがボリュームのある旨みを感じる。しかし酸味がバランスが良いので、後口は意外にもドライ。まさにしぼりたてのフレッシュ感をそのまま感じられた。居酒屋でこれを味わえるとは、時代はどんどん進んでいる。

 〆は塩むすび。しみじみ日本人で良かった。