2024/09/06
『ルナ・ゲートの彼方 "TUNNEL IN THE SKY"』(ロバート・A・ハインライン:著/創元SF文庫)を読んだ。
まずは出版社の紹介文を引く。
●大森望氏推薦――「こんなのあり? 衝撃の結末に茫然自失。だまされたと思って読んでください」
●坂木司氏推薦――「ひどいよ、ハインライン…。青春叩き潰し系の成長小説。軽く鬱だが、それがいい!」恒星間ゲートを利用して未知の惑星に志願者を送りこみ、回収のときまで無事生きていられたら合格――これが上級サバイバル・テストだ。ハイスクール生のロッドは両親の猛反対を押しきって、十数名のクラスメイトとともにゲートをくぐった。事故で回収が不可能になることなど、露ほども知らずに……。生存のための長い長い闘いがはじまった。巨匠にこの1作ありと語られる名編登場! 解説=大森望
大好きなハインラインの未読本である。本屋で東京創元社創立70周年フェアのラインナップを見て、内藤泰弘氏の書き下ろしカバーがやけに格好良かったので衝動買い。
巻末にある大森望氏の解説によるとハインラインは一九四七年から五八年まで十二年間、毎年クリスマス・シーズンに一冊ずつジュヴナイル長編を出版したらしく、本書はその一冊である。
未来におけるハイスクールの最終試験。それは志願者が参加するサバイバル・テストであった。恒星間ゲートを利用した時空ジャンプで志願者を未知の惑星に送り込み、回収の時まで無事生き延びることが出来れば合格という命がけのテストである。ところがなぜか予定の時期に回収ゲートが開かず・・・という話の展開。なんとなく『十五少年漂流記』を想起させるようなSFであった。いくつになっても男はこういうのを好きなのですよ。存分に楽しみました。
ただ、結末は想定外。ハインラインはどうしてこんな結末にしたのか。もっと感動的でヒロイズム願望が満たされる結末を用意することも可能だろうに。そこが謎といえば謎。うーん、なんだかなぁ。