先週は「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」に没頭。全4巻という長編小説にいささか疲れ気味だったので少し軽いのを、ということで椎名誠のエッセイを手にした。「とんがらしの誘惑」である。
- 作者:椎名 誠
- メディア: 文庫
本書は「週刊文春」に1990年1月から連載された「新宿赤マント」をまとめたもので、椎名氏曰く「所詮はどうにも発作的酩酊よれざれ粗製乱造、青息吐息、艱難辛苦、どこまでいってもその場しのぎのバカタレばなしのよせあつめ」エッセイであります。要するにどうでもいい本なのである。シリーズを第一巻からあげると
1. ひるめしのもんだい
2. おろかな日々
3. モンパの木の下で
4. 南国かつおまぐろ旅
5. ネコの亡命
6. 時にはうどんのように
7. カープ島サカナ作戦
8. ギョーザのような月がでた
9. 突撃 三角ベース団
10.とんがらしの誘惑(本書)
11.くじらの朝がえり
12.焚き火オペラの夜だった
13.ハリセンボンの逆襲
14.ぶっかけめしの午後
15.地球の裏のマヨネーズ
16.ただのナマズと思うなよ
17.どうせ今夜も波の上
18.ワニのあくびだなめんなよ
である。椎名氏の本はたいてい読んだつもりであったが、4.11.12.13.14.15.17.18が未読である。特に4「南国かつおまぐろ旅」はとばしてしまっている。いかんいかん。不覚を取った。近いうちに読まねばなるまい。
本書で椎名氏はワープロを使うようになって、魑魅魍魎や薔薇の漢字が簡単に変換できることに喜び、あちこちの水辺に水上バイクがずかずかやってくることに怒る。こんなはた迷惑な道具を作る会社が「地球にやさしいを企業理念に」などをほざいていることに激しく憤る。世の中に跳梁跋扈(FEPならこんな漢字をすらすら書けてしまう。ちょっとうれしい)するバカどもに「ナメンナヨ」的視線を投げかけつつ、名古屋のタクシーの運ちゃんが東急ホテルまでの道を知らなくても怒らず、運ちゃんと一緒に道行く人に尋ねたりしているのである。また、オジサンがする金のネックレスやセカンドバッグ、クリスマスになると見かける家の壁や庭の木にチカチカするイルミネーションが限りなく恥ずかしいという。はたまた、いちいち疑問型で問いかけてくる会話スタイルにいらだつ。
椎名氏の価値観に激しく同意。椎名氏に拍手!パチパチ!
♪本日の一曲♪
「とんがらし」といえばチリペを聴かずばなるまい。