今日の夕飯は「鯛飯」
『寿司屋のかみさん うまいもの歴』の第一話に書いてある桜鯛の鯛飯を食べたくなったのだ。
http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=126302
週末に作ってみようと決意して待つこと4日間。
永かったぜ。逢いたかったぜ。
秋刀魚飯なら何度も作った経験があるのだが、鯛飯は初めてである。
男にとって初めての経験は大切なのだ。へたをすれば人生を間違ってしまうほどの一大事なのだ。
何を言っているのだ?
そうそう、鯛飯である。
まず、鯛を仕入れなければならない。
ブログ・アップを前提にするとそれは切り身でなく尾頭付きでなければならない。
しかも旬の桜鯛と言うからには天然物でなければ格好がつかないだろう。
ふところの心配をしながら魚屋の店頭を覗くと淡路島産の天然物があった。
しかも3人で食べるのに手頃な大きさのものが1600円ほど。迷わず購入。
もっと立派な鯛で5000円ちかくするものもあったのだが、これぐらいの大きさが美味しいはず。
それに、土鍋で米と一緒に炊くとき、これ以上おおきいと入りきらないのだ。
まさに鯛飯のための鯛。私のために生まれてきたような鯛である。
はらわたと鱗の処理をお願いして持ち帰った。
家で処理したのは切れ目を入れ、軽く塩をふり焼いただけ。
鍋に出汁を取り、酒、醤油、塩で味付けした後、昆布を入れる。
米をとぎ、しばらくおいたあと、鍋に米を投入。
昆布を米の上に置き、更にその上に鯛をおき火にかける。
火は強火。ここからは目を離してはいけない。
♪ピンポ~ン、ピンポン などと来客を知らせるチャイムが鳴っても無視するのだ。
どうせ自治会費の集金か何かなのだ。絶対無視するのだ。集中、集中!!
しばらくするとグツグツいいはじめる。まだまだ、焦ってはならない。
鍋の中での沸騰が最高潮にさしかかって、これ以上放置すると吹きこぼれるっ!
という直前に火を中火にして時計をみる。
ここからきっかり8分。米を炊くのだ。
時計が7分経過を告げた頃、もうすでにグツグツという音は小さくなっているのだが、
ごはんと醤油が焦げたいい香りが漂い始める。
焦がしすぎてはいけないので、火を弱火に切り替えさらに炊く。
8分まであと20秒というところで、勇気を出して火を強める。
美味しいおこげが食べたければ、ここで日和ってはならない。
己を信じて強火で香りを出す。そして8分ジャストで火を止める。
ここで蓋を開けたい誘惑にかられるのだが、けっして誘惑に屈してはならない。
男は黙って20分待つのだ。ここで誘惑に負け、焦って動いてしまっては恋の駆け引きに破れるのだ。
鍋の中で炊きあがったごはんが、充分にムレムレになり、「ああ、私もうダメ……、お願い、好きにして……」
という声が漏れ聞こえるまで辛抱するのだ。
手持ちぶさたなので酒を飲みながら待つ。
酒は青森県の桃川株式会社のその名も「桃川 特別本醸造」である。
やや辛口、淡麗な酒なので私は燗にする。燗にすると滋味がでてしみじみ旨い。
やはり東北の酒は燗にして良し! と思う。
20分経ったらふたをとる。
おおっ! どうです、この鯛の神々しいお姿。この芳ばしい香り!!
この香りが伝えられないのが残念です。
私はここでこの素晴らしい鯛に敬意を表し、吟醸酒を少し振りかけた。
酒は青森県の銘酒「純米吟醸 杉玉」。この銘柄に特段の意味はない。
たまたま手持ちの酒を順番に飲んでいるだけのことである。
この酒も凛とした酒である。上品な旨味がすぅっとキレてゆく。イイ酒だ。
そうすると旨いアテが欲しい。
ちゃんと作っておるのですよ。家島産「イイダコの煮付け」でございます。
これまた旬の食材。あたまにぎっしり飯が詰まっていておいしい。
おいしく「杉玉」をいただいたところで、鯛をとりだし身をほぐし骨をとる。
身と皮だけを鍋に戻してご飯をざっくりと混ぜ合わせる。
刻んだ三つ葉を載せると良い香りがあたりに漂う。
『桜鯛の鯛飯』の完成!! 家族にも好評でした。星三つです!!!(☆☆☆)