佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

1月の読書メーター

2014年1月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3425ページ
ナイス数:2205ナイス

 

2014年1月は幸せであった。というのも、待ちに待ったシリーズもの新刊がでたこと。『ビブリア古書堂の事件手帖<5>』、『乙嫁語り<6>』、『心に吹く風(髪結い伊三次シリーズ10』、うれしかったなぁ。

 


播磨灘物語 (3) (講談社文庫)播磨灘物語 (3) (講談社文庫)感想
どうやら司馬氏は弱小大名に過ぎなかった信長が天下統一目前まで強大になった理由と、あっけなく滅びた理由双方を信長の持つ原理に求めていらっしゃるようだ。獄中にある官兵衛をして「原理というものはそれが鮮明で鮮烈であればあるほど、他者を排除し、抹殺する作用がある」と看破させた場面がいい。歴史物語の楽しみは史実を知ることだけでなく、史実をもとに歴史が動いた背景を推理し、人間を知るというところにあるのだろう。さて、次は四巻。いよいよ最終巻だ。官兵衛はどう考え、どう生きる?
読了日:1月30日 著者:司馬遼太郎

 


ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)感想
本は作者の想い。紙に文が載せられるだけで、紙に絵が印刷されるだけで、その想いは普遍性を持つ。と、同時に永遠を獲得する。といってもその本がかたちとして存在する限りという限定付きではあるが。古書の良さはそこにある。とすれば、古書はコレクションだけで終わってはならないのかもしれない。本当にその本を読みたい人があれば、本当にその本を読むに相応しい人がいれば、本はその人のところまで旅をするものなのだろう。前作<4>から今作まで11ヶ月。また一年近く、辛抱しなければならないのか。三上さん、出来るだけ早くお願いします。
読了日:1月29日 著者:三上延

 


ひとめあなたに… (創元SF文庫)ひとめあなたに… (創元SF文庫)感想
物語のはじまりは好きだったのです。いいなぁ、青春だなぁ、なんてね。しかし、中盤はつらい、痛い。そりゃぁそうでしょう。一週間後に人類が滅亡するのですから。人間ってのは悲しい生き物です。同時に、人間ってのはコワイ生き物です。特に女性は不可解でコワイ。あぁ、読むんじゃなかったと後悔した中盤。でも終盤、朗が圭子に言ったこの一言に救われたのです。「俺はあんたが思ってくれる程たいした男じゃない。けど、あんたがそう思ってくれてんなら、本当に、たいした男になりたい」 めでたし、めでたし。いやめでたくはないですけれど・・・
読了日:1月27日 著者:新井素子

 


ゴールデンスランバーゴールデンスランバー感想
伊坂さんてきっと信頼できる人なんだろうな。たとえば主人公の父・平一の言動をみればわかります。平一は「痴漢」が絶対に許せない。殺人より悪いと考えている。なぜなら人にはどうしても人を殺さざるを得ない事情というものが発生しうるが、どうしても痴漢行為に及ばざるを得ない事情はありえないから。また、ろくに調べもせずに息子を犯人と決めつける軽佻浮薄なマスコミに対して、自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれないという覚悟を持っているのかを問うた一言にはしびれました。この小説、おすすめです。
読了日:1月24日 著者:伊坂幸太郎

 


終末のフール (集英社文庫)終末のフール (集英社文庫)感想
「鋼鉄のウール」の章に出てくる苗場の人物造形が秀逸。「明日死ぬとしたら生き方が変わるのか。あなたの生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」という彼の問いが胸に刺さる。いつ死のうと自分の生き方は変わらない。自分に妥協を許さず、その時できること、すべきことをやるのみ。彼の生き方は葉隠「常住死身」という心得と相通ずる。そう考えると、苗場の専属カメラマンの名が「三島」であることに興味を覚えるのは私だけだろうか。
読了日:1月21日 著者:伊坂幸太郎

 

 


播磨灘物語 2 (講談社文庫 し 1-8)播磨灘物語 2 (講談社文庫 し 1-8)感想
ともすれば毛利になびこうとする播州の諸将を織田方へと説いてまわる官兵衛は中国の縦横家に自分を重ねたか。いよいよ官兵衛は己の活動ステージを高めはじめた。言を尽くさずとも価値観を共有できる竹中半兵衛という友も得た。歴史は信長という革命家と官兵衛のという知略家を得て新たな胎動を始めたと云える。氏素性を問わず能力のみで人を量る怜悧な信長なればこそ、理屈ではない人の感情が理解できない。そのことが、配下の者の疑心暗鬼を生じてしまう様が興味深い。荒木村重に謀叛の動きあり。どうする官兵衛。次巻のおたのしみ。
読了日:1月18日 著者:司馬遼太郎

 


乙嫁語り 6巻 (ビームコミックス)乙嫁語り 6巻 (ビームコミックス)感想
19世紀後半の中央ユーラシアはロシアの南下政策の影響に揺れる。遊牧民にとって所有する羊の数が資産なら、所有する馬の数は誇り。多くの馬を放牧する牧草地が足りないとなれば奪うのみ。その行為が正しいか正しくないかでは無い。そう思う部族がいるかいないかである。そう思う部族がいればそこに戦いが生じる。たとえそれが愚かな戦いであっても、降りかかる火の粉は払わねばならない。「夫が戦うなら私だけ逃げるわけにはいきません。私は妻ですから」と言い放ったアミルが清々しい。今年は午年。表紙を飾るアミルと馬の凜とした美しさを観よ。
読了日:1月15日 著者:森薫

 


心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)感想
一年間、待ちに待ったぞ。単行本を読めば良さそうなものだが、文庫本で読むと決めているのだ。龍之進のご新造”きい”が誠に魅力的。このシリーズに新たな魅力が備わった。伊与太と茜に転機が訪れ、今後どうなるのだ。気になる。あぁ、また一年間じっと我慢の子だなぁとしみじみ思いながら「あとがき」を読んでいると、な、なんですと? 宇江佐さん、くれぐれもご自愛ください。私はこのシリーズをいつまでも読み続けたいのです。伊三次の周りの人、皆の幸せを見とどけたいのです。勝手な言いぐさですが、私の願いを叶えてください。御身ご大切に。
読了日:1月14日 著者:宇江佐真理

 


播磨灘物語 1 (講談社文庫 し 1-7)播磨灘物語 1 (講談社文庫 し 1-7)感想
かなり前から買い置いていたのだが、全四巻ということでこれまで読むのを躊躇っていた。しかし、大河ドラマが今月五日から始まってしまった。後れをとってはならじとばかりに慌てて読み始めた。若き日の官兵衛は私が住んでいる姫路に住んでいただけに、物語の舞台となる所になじみがあり、今の様子を知っているだけに興味深い。旧弊を廃し、広く世間を観て物事をありのままに情勢分析する官兵衛。気概に富むが、身体能力に恵まれない己を知り、知力で激動の時代を乗り切ろうとした官兵衛の慧眼たるや見事と云うほかない。
読了日:1月12日 著者:司馬遼太郎

 


旅の絵本 (3)  イギリス編 (安野光雅の絵本)旅の絵本 (3) イギリス編 (安野光雅の絵本)感想
入口と出口はチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚パレード。どうやら1981年当時のイギリスを旅されたようだ。ドーバー海峡を渡ったところから北へ。最後は定かではないがスコットランドウェールズの海をボートでこぎ出す。安野氏は村から村へと旅をする中でイギリスの村人たちが高い誇りを持っていることに気づかれたそうだ。緑の国土をいとおしみ、せいいっぱい村をきれいにして住んでいる村人を見て、イギリスは世界で一番村の美しい国だと思われたとのこと。トラファルガー広場ビートルズ刑事コロンボシャーロック・ホームズを探せ!
読了日:1月5日 著者:安野光雅

 


阪神間のお店―カフェに雑貨、ごはん、ギャラリー…、めぐって楽しい (えるまがMOOK)阪神間のお店―カフェに雑貨、ごはん、ギャラリー…、めぐって楽しい (えるまがMOOK)感想
行ったことがある所は紹介された261店中3店。ハム・ソーセージ「メツゲライ・クスダ」、蕎麦「土山人」、旧甲子園ホテル。行きたくなった所は沢山。伊丹「喫茶・島あと」でパンとコーヒー、岡本「びすこ文庫」で古書、苦楽園口「maruku.cafe」のドライカレー、阪急御影「蕎麦ふくあかり」で酒と蕎麦、新在家「俺の餃子」で餃子とビール、阪神御影「立ち呑み・美よ志」で昼酒。楽しみやなぁ。あと仕事柄、さくら夙川「噂の八百屋」、芦屋川「ORGANIC VEGETABLE CA」、移動販売「yamsai」は要チェック。
読了日:1月5日 著者:

 


赤ヘル1975赤ヘル1975感想
1975年。私が高校に入学した年。ベトナム戦争終結した年。バンバンの「『いちご白書』をもう一度」がヒットし、港のヨーコはハマからヨコスカに流れ、たいやきくんは喧嘩して海に逃げ込んだ。この年の赤といえば、日本赤軍がクアラルンプールでアメリカ大使館を占拠したテロ事件。これはボケタレだ。アッパレだったのは赤ヘル軍団・広島カープの球団創設以来のセ・リーグ初優勝だった。あの時代の記憶がよみがえって懐かしく温かい気持ちになった。市井の人が悲しみや怒りを胸に秘めながらも、周りの人、仲間を大切にして生きている姿に感動。
読了日:1月4日 著者:重松清