佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ももんがあ からっ風作戦』(椎名誠:著/文春文庫)

2022/05/21

『ももんがあ からっ風作戦』(椎名誠:著/文春文庫)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

シーナが入った最悪の温泉は?世界で見たもっとも衝撃的なトイレは?全国の麺類徹底比較からイカの性交まで、20冊目になっても、役には立たないけど陽気で楽しい赤マント節!便利というより不自由になっていくブンメイへの警鐘も鳴らします。

 

 

 

 

 シーナさんの推す「日本三大国民食」はカツ丼、ラーメン、ライスカレー。文句はない。そのとおりだと思う。しかし私は敢えてラーメンと蕎麦を入れ替えたい。ラーメン屋で酒は飲めない。蕎麦屋で飲む酒のうまさと言ったら、これはもう冠に「日本」がつく以上、ぜひとも入れ替えてもらわねばならない。ではライスカレーで酒が飲めるのか、と言われたら絶句するしかないけれど。

 どうでもいいことだが新潮社の杉原氏の死生観「人は死んだら死ぬのだ」に激しく感動した。もうひとつどうでもいいことだが「幽霊はどうして服を着ているのか。服にも霊があるのか」というイチャモンが気になる。『幽霊を捕まえようとした科学者たち 』(デボラ ブラム :著)/ 鈴木 恵 :翻訳/文藝春秋社)を注文した。

『タコはいかにしてタコになったか』(奥井一満:著/光文社カッパ・サイエンス)も注文した。どうもシーナさんの本を読むと読みたい本が増えてしまってこまる。

 シーナさんご指摘の「日本の子どもたちは、たぶん世界で一番サバイバル能力のない子どもたちだろう」という指摘に激しく同意する。モンゴルの遊牧民の子どもは三歳ぐらいから燃料の家の手伝い(牛の糞を拾う)をする。五歳ぐらいから馬を乗りこなし全力疾走もする。北極圏のイヌイットの羞悪年は十四歳ぐらいでツンドラを走りカリブーを撃っている。アフリカのマサイ族の十歳の少女は牛の糞と泥で自分の家を作ることが出来る。日本のNPOが途上国に行ってかわいそうだから子どもを働かせるなと抗議しただと? 「ふざけるな! お前らのお花畑のような頭で世界を語るんじゃない。ウクライナを、アフガンを、パレスチナをちゃんと眼を開いて視よ。恥ずかしいから、だまっておれっ!」と私も昂奮してしまった。

「母性本能」をくすぐってどうする。「自分探し」ってなんなんだ。シーナさんのイチャモンに何度も膝を打った。

 締めくくりは「神津島」であった。伊豆七島神津島に行った話は過去何度か読んだ気がするのだがやはりイイ。釣り立てのムロアジをヅケにしたヅケ丼や海苔巻き、食べてみたいなぁ。やはりシーナさんには島と焚火と酒が似合う。

 沢野ひとし氏の「解説」がおもわず良かった。まだ若く勤め人だった頃、高田馬場にある小さな飲み屋で飲んでいたエピソード。特にバーバリーコートの話がイイ。友だちってのはこういうもんだと思う。