佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

旅の御供はやはり椎名誠であった

2020/11/24

 11月13日から18日まで自転車を携えて山陰を旅してきた。旅に出るとき、私は必ず本を何冊か持って行く。旅先で読むためだ。移動中に読む。ちょっとした休憩時間に読む。居酒屋でひとり酒しながら読む。宿の朝飯前の時間待ちに読む。そういう時間の隙間に読むものがなければどうも落ち着かないのだ。

 持って行く本はその時々、直感で適当に選ぶ。本棚には手に取られるのを待っている未読本が200冊以上ある。さて今回の山陰旅に何を読むべきか。隠岐の島には初めて行く。島へ行くとなればやはりシーナさんだろう。”新宿赤マント”シリーズのうち未読本の中から『焚火オペラの夜だった』『ハリセンボンの逆襲』『ぶっかけめしの午後』の三冊を選んだ。こうしたエッセイは短文がまとめてあるだけに旅先で読むのに便利である。登場人物が多いミステリや深刻なテーマを扱った重厚な小説は旅先で軽く読むのに適さない。申し訳ない言い方だがシーナさんは軽く読める。なにせ「昭和軽薄体」なのだから。

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『焚火オペラの夜だった』(2020/11/17読了)

「焚火オペラ」とはなにか。ブレヒトの戯曲『三文オペラ』のごとく階級社会を風刺した問題作なのか。あるいは開高健の『日本三文オペラ』のごとくアウトローの猥雑と醜怪の極みを描く快作なのか。なになのだ、えっ? とツッコミをいれながら読んだ。中身はいつものシーナさんであった。島へ行き、三角ベースをやり、ビールを呑む。チベットにも行く。相も変わらぬ生態である。「焚火オペラ」の謎はあとがきによって解けた。波照間島のペー浜での焚火酒宴で民宿のおじいが朗々と歌った「ミネソタのタマゴ売り」がその正体であった。私も一度聴いてみたいものだ。

 

焚火オペラの夜だった (文春文庫)

焚火オペラの夜だった (文春文庫)

  • 作者:椎名 誠
  • 発売日: 2004/01/09
  • メディア: 文庫
 

 

ぶっかけめしの午後』(2020/11/19読了)

 シーナさんも高尿酸値に悩まされている。私もそうだが、ビールを毎日がぶ飲みし、うまいものを食っていれば尿酸値は確実にあがるのだ。物事には原因と結果があるのだ。文句ないのだ。文句あるのはホテルの朝メシである。本作においてシーナさんはB級ホテルの朝食バイキングについてスルドク分析し批評している。旅の達人の慧眼というほかない。この本を読んでいた頃、まさに私はB級ホテルにGo To トラベルしていたのだ。朝メシの問題は身につまされるのだ。それにひきかえ、沢野ひとし氏がこれまでの人生の中で一番うまい「ぶっかけめし」だという八丈島の漁師が作るぶっかけめしを私も食いたいぞ。

 

ぶっかけめしの午後

ぶっかけめしの午後

 

 

『ハリセンボンの逆襲』(2020/11/24読了)

 シーナさんとその仲間は旅先へどやどやと出かけ、その地のうまいものを食べる。私の旅もそうありたいと思っている。酒も休みなく飲む。飲めるのだから飲む。それで良いではないか。しーなさんは旅先に本を持って行く。私もそうだ。世の中はおもしろい本であふれている。かたっぱしから読むのだ。それでいいのだ。ハリセンボンの逆襲は痛くないだろう。怖くもない。それでいいのだ。

 

ハリセンボンの逆襲 (文春文庫)

ハリセンボンの逆襲 (文春文庫)

  • 作者:椎名 誠
  • 発売日: 2005/01/07
  • メディア: 文庫